一人旅おやじがゆく

旅することが人生の最大の喜びである旅好きが、各地で見たもの感じたことを淡々と記します。

「うみたまご」と「高崎山」は中高年にも面白い

別府旅行の2日目。

朝6時には目が覚めて、朝風呂に入る。正月休みの最終日なので宿泊客は多い。朝食を腹いっぱい食べて、9時すぎにはまずは「うみたまご」を目指す。

実に久しぶりの水族館だった。最後に訪ねた水族館は鹿児島港にある水族館だったような気がする。もう十数年前の話だ。子どもがまだ小学生の頃だったと思う。水族館は小さな子どもがいて初めて訪ねる気になる場所なのであり、50代夫婦が2人で行く場所ではない。おまけに入場料がいい値段だ。映画をみるよりずっと高いのだ。シニア割引などない。それでも敢えて「うみたまご」へ。釣り好きの私には魚という存在は大変大きいのだ。

ペリカンのショーに続き、セイウチのショーをやっていた。セイウチはとにかくでかい、でかすぎる。寝そべると3メートルくらいある。牙がすごい。でも性格は温厚みたいで、調教師の言うことをよく聞く。手をたたいたり、腹筋運動の動きをやってみたり、観客の少年と握手したり、何でもござれという感じ。セイウチを近くで見たのは初めて。イルカのショーなどもいいが、セイウチの大物感はすごすぎる。何度も見たくなった。

 

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セイウチのショー

 

屋内の演出もなかなかのものだった。釣り好きとしてはタイだの、アジだの、クエなど、うまそうな魚が泳いでいると心が騒ぐ。「君達はこんな感じで泳いでいたのか」と感心したり、「この水槽の中にまき餌をまいたら、どうなることだろう」などと妄想したり、「小魚ほどちょこまかと泳ぐのが速いな」と新たな発見があったりで興味は尽きない。タチウオの泳いでいる姿も初めて見た。まるで水草のように縦にゆらゆらと泳いでいる。チンアナゴも可愛かった。水槽の砂地から体の上半分だけ出して、きょろきょろしている。近くの者同士、威嚇しあったりしていて面白い。

 

満足した後は、国道10号線を渡って、高崎山へ。こちらも実に面白かった。

高崎山の南半分を生息エリアにする「B群」の猿たちがいた。学芸員の女性がマイクでいろんな説明をしてくれる。よく知られているように猿の世界は格付けがきっちりしているのだが、学芸員の方々をその順列をきっちり把握しており、目に止まった猿の名前を次々に紹介しながら、どのあたりの格付けにランクされているのか教えてくれる。上位にランクされている猿はみな骨格が立派で、風格たっぷりにゆったりと歩いている。そんな猿はちょっとゴリラに近い感じだ。

時折、猿同士の小競り合いも起こる。観客はみな「猿から襲われはしないか」と少しびくつきながら観察しているので、甲高い鳴き声とともに小競り合いが始まると、びくっとした感じで成り行きを見守る。私が見た小競り合いはちょっと激しかったらしく、流血騒動に。1匹の猿は相手の猿に嚙まれたのか手から血を流していた。後で見ると地面に血痕が残っていた。

昭和半ばならいざ知らず、平成、令和と流血を伴う争い事はめったに見る機会はない。どこかヤクザ映画を見ているようで、ちょっとドキドキした。

猿の世界は生々しい。自分がこの世界にいたらどのあたりにランクされるだろうか、と真剣に考えてしまう。まぁせいぜい、群れに入るのを嫌がり、山々を単独で動き回る「ハグレザル」というところだろうか。いやいや、「ハグレザル」の名はちょっと格好良すぎだろう。

 

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高崎山の猿

 

その後、御朱印をもらいに高崎山の南側に位置する柞原八幡宮(建物は国重要文化財)に行った後、「おさるの湯」という高崎山西麓の温泉へ。この温泉がなんとも良かった。ロゼワインほどの色合いの湯で温度が高い。温泉県大分の名に恥じない野趣あふれる温泉だった。30分ほどゆったり浸かった。

 

さて人気の寿司屋「亀正」に午後3時半ごろ行ってみたが、待ち時間が1時間ほどと聞き、あきらめました。妻はなかなかあきらめきれなかったようで、熊本までの帰り道、ずっと無口だった。

それにしても「うみたまご」と「高崎山」の面白さには驚いた。頻繁に別府を訪ねながら、これまでなぜ足を運ばなかったのか、反省せずにはいられなかった。