一人旅おやじがゆく

旅することが人生の最大の喜びである旅好きが、各地で見たもの感じたことを淡々と記します。

お気に入りの地元ロング散歩コース

これまでのブログを見てみると、自分の故郷から離れた場所ばかりテーマにして書いており、いかがなものか、と少し反省した。今後は時折、地元を旅する様子も報告したい。

今回はその1回目。神風連の乱を紹介したので正しくは2回目だ。

私の本籍地は熊本市だが、仕事の関係で県内あちこち渡り歩いてきた。今は県内第二の都市で工業都市としても知られる八代市に住んでいる。みなさんご存じとは思うが、八代亜紀の出身地。でも「やつしろ」と読む。奥深い九州脊梁山地を抱える一方、八代海に面して、広大な干拓地が広がる。あまりに広すぎてとりとめがない感じもするが、とても住みやすい町であることは間違いない。

あまり紹介されることはないが、八代地域の良さを満喫できるロング散歩コースがある。

八代駅からおれんじ鉄道乗車→上田浦駅(芦北町)→線路沿いの道を引き返すように歩いて肥後二見駅八代市)→おれんじ鉄道で日奈久駅→歩いて日奈久温泉

おれんじ鉄道の肥後二見~上田浦は、八代海沿いを走り、対岸に天草の島々を望める区間。おれんじ鉄道を紹介する時は必ず出てくるシーンだ。この鉄道を舞台にした有村架純主演の映画「かぞくいろ」でも、この区間の映像が出ていた。

 

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上田浦から望む天草

上田浦駅は「陸の孤島」と言われてしまいがちな場所。この鉄道に沿って県道が走っているが、なんと普通車は通れない。慣れた軽自動車ならどうにか通れる不思議な県道だ。

上田浦駅で降りたら、この道をぼちぼちと八代方面に歩く。車が通らないから安全安心。さっき列車の右側に見えていた八代海と天草の島々を左手に見て歩く。遠くに八代の工場の煙突や港の巨大クレーンが見える。空気が澄んでいれば、天草の向こうに雲仙。熊本県内とはいえ、八代地域の人々がよく目にする火山は、阿蘇ではなく雲仙なのである。ちなみに雲仙(長崎県)は、福岡・佐賀・熊本・鹿児島の4県から望める希有な山だ。田中陽希も登っていた。

タイミングが良ければ、巨大クルーズ船が八代海を航行するのを見ることも。この県道の整備の遅れで上田浦地区は不便を強いられているが、観光で来た余所者にとってはなんともいやしてくれる道である。

上田浦から1時間も歩くと、肥後二見駅に到着。一駅で日奈久温泉に着く。10分ほど歩くと日奈久の温泉街なので、ゆったりとお湯に浸かろう。最近では珍しい木造3階建ての旅館がかなりの数残っている。「千と千尋の神隠し」の湯屋を思い出す人も多いはず。山頭火も「お湯がいい」と気に入った温泉なのである。「ばんぺい湯」という公共温泉施設もいいが、地元民御用達の「東湯」「松の湯」などもかなり高レベル。派手さはない温泉街。そこが八代らしくて実にいい。

紹介したこのルートは、距離も景色も歩きやすさも、個人的には熊本県内で三本の指に入るロング散歩コースと思っている。