一人旅おやじがゆく

旅することが人生の最大の喜びである旅好きが、各地で見たもの感じたことを淡々と記します。

2年前のフィンランド旅行 その1

もうやがて2年前になるが、妻と2人でフィンランドエストニアを旅した。記憶が薄れてしまう前に、書きとどめておきたい。

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そもそもなぜフィンランドに旅したか。ムーミンが好きとか、マリメッコがお気に入りとか、そんな理由ではない。福岡空港からフィンランド行きの直通便があったから。福岡空港からは韓国、中国、東南アジアやハワイには結構な便数が飛んでいるが、欧州便が定期便として飛んでいるのは稀。以前、英国航空のロンドン便があったかもしれないが‥記憶違いかも。

田舎の人間は欧米に行く場合は、羽田、成田、関空などに一度行ってから欧州行きの便になるのが普通であり、かなり面倒臭い。特に欧州に行く場合は、九州から一度東に進んだ後、今度は東京から逆方向の西に向かうので、なにか損をした気になる。ちなみに韓国の仁川国際空港が九州人にとっては大事なハブ空港。欧州行きには便利だ。

福岡からの直行便 使わない選択肢はないやろ

福岡から直通便でヨーロッパに行ける。こんな素晴らしいチャンスを逃す手はない。もたもたしていると「フィンランド便休止」などと報じられかねない。数年前から虎視眈々とフィンランド行きの構想を練り、2年前、妻と調整に調整を重ね、6連休をようやく手に入れ、実現したのである。

出発は午前中。西に向かって飛ぶので、ずっと昼間で現地の昼過ぎに到着した。飛行機の速さと地球が自転する速さが、あまり変わらないということだろう。宇宙から見ていたら、飛行機がほぼ同じ位置で停止しているように見えるということか。

上空から見るフィンランドはひたすら、緑が広がる平坦な大地だった。

空港はヘルシンキ中央部から列車やバスで1時間弱。行きは列車、帰りはバスを利用した。5月下旬だったので気温は10度台が普通らしいが、数年に一度の暑さだったらしく(帰国日の新聞で知った)、昼間は25度ほどの日が続いた。言わば日本の初夏とほぼ一緒だったということ。しかし太陽高度が低いので、感覚的には4月上旬の明るさ。

フィンランド人は内向的らしい

そして夜10時ごろが黄昏時。この時間が妙に長い。なにしろ北緯60度。アイスランドレイキャビクに続き、世界で2番目の高緯度に位置する首都なのである。ホテルの窓から暗闇を見たのは、夜中の1時にトイレ起きした時の一度切りだった。おそらく夜の闇は2~3時間程度だったのではないか。

夏はいいが、冬場は大変らしい。なにしろ昼間が極端に短い。だから欝になる人が多いとか。白人というと、外交的な国民性をイメージしてしまうが、フィンランド人は内向的な人が多いという。日照時間や太陽の明るさは国民性に大きく影響するのだろう。イタリア人と比較するとよく分かる。

 

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ヘルシンキ中央駅が観光の拠点となる。ヘルシンキは他の欧州の首都に比べて歴史が浅いので(スウェーデンなどと比べ国の成立が遅かったようだ)、駅舎をはじめとする古い建造物もせいぜい19世紀の建築だ。ただパリと同様、同じ高さに切り揃えたような整然とした街並みで、その間をトラムが走る。ヘルシンキの街中を縦横無尽に走っていて、観光には大変便利だ。日本の路面電車よりずっと力があり、坂道でもすいすい進む。「シューン」というかすかなエンジン音が北欧の空気の清々しさとクロスして実に気分がいい。路線が大雑把に頭に入れば、これ以上優れた移動手段はない。

福岡より小さいが熊本より大きい街

ヘルシンキはイメージよりずっとコンパクトな街だった。市街地の規模は、福岡市より小さいが熊本市より大きいくらい。何系統もあるトラムをうまく利用すれば、1日である程度の観光地はまわれる。観光地といってもあまりインパクトが強いものはなく、静かな公園だったり、教会だったり、美術館だったり。でもそれがすごくいい。ホントに映画「かもめ食堂」の雰囲気。ヘルシンキに行くなら、あの映画は是非ものと言えそう。

我々はヘルシンキ中央駅に到着後、ぼちぼちと歩いて港へ続くエスプラナディという大通り公園風の公園へ。休日だったので、大賑わい。アジアと違い、なぜか混沌とした喧騒にならないから不思議。この謎、だれか解いてほしい。

しかし、大道芸人が無理やり我々に寄ってきたのには不快になった。フィンランド語でがんがん話しかけて来る。言葉が分からないと英語で言ってもおかまいなし。旅行中、唯一嫌な気分にさせられた出来事だった。近くにいたインテリ風なおじさんが庇ってくれた格好で助かった。

そのままヘルシンキ大聖堂へ。港が近いので、カモメが飛び交う。石段に腰掛けて街を見渡すと、「あー、海外に来たなぁ」という気持ちが強まる。

そのまま歩いて、カタヤノッカという島とも半島とも言えそうな場所にあるスカンディックグランドマリーナというホテルへ。地図だと相当遠くに感じたが、結局苦もなく歩いた。

下の写真はヘルシンキのトラム路線図。トラムもいいが、自転車で回るのにちょうどいい規模。私は帰国日の早朝、ホテル備え付けのものすごくごつくて黒い自転車を借り、1時間ほどかけて市内中心部を巡った。壮快でした。やっぱ北欧は最高だ。

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