京都について書いてみたい。
私が好きなNHKの番組「72時間」で昨日、5年ほど前に放映された「京都の鴨川デルタ」を再放送していた。京都大学と同志社大学の間くらいに位置する、鴨川がY字に合流している箇所である。
実はあの場所、以前からなんとなく気になり、京都に行った際は下鴨神社とセットで「なるべく訪ねる」定点観測スポットにしている。子供の頃から地図好きだった私は、京都の地図を見て、「えらくきちんとY字になっているなぁ」と印象に残っていた。で、高校の修学旅行の際、今出川通りを走るバスの中からあのデルタを初めて確認。思ったより広々としたその風景が妙に印象に残った。
そして今から20年近く前、小学生の娘と初めてその場所に足を運んだ。
バスの中から見た感じそのままで、大変開放感があった。
小説の舞台にするならピッタリきそうな場所である。村上春樹の作品に出てきそうなスポットだ。いいこと、悪いこと、悲惨なこと、輝かしいこと、いろんな歴史の断層があるにも関わらず、今現在だけ切り取ってから見ると、至って人々の善意に満ち溢れている。72時間でも、多くの京都の大学生たちにとって思い出の地であることを紹介していた。そんな人気スポットであることは番組を見て初めて知った。
東北出身の大学生は「この鴨川デルタで自分は大学時代、どのくらいの時間を費やすのか」スマホに記録していた。友人を作るのが苦手らしく、「ついついここに来てしまう」という。京都の大学に入った以上、「京都の大学生らしい時間を過ごしたい」と思うのかもしれない。番組の最後の方ではこの大学生、鴨川デルタで知り合った友人ができたことを紹介していた。とても嬉しそうだった。東京で大学生活を送った私にとって鴨川デルタにあたる場所はどこなのだろう。サークルで楽器の練習をしていた場所だろうか。いやちょっと違うな。
72時間でおなじみの〝朝から飲んでる高齢者〟も鴨川デルタに登場。さすが関西。
ちなみに私が最後に鴨川デルタを訪ねたのは、やがて3年前。一人、京都駅近くで自転車をレンタルし、この時は洛北を中心に観光した。詩仙堂、曼殊院門跡、一乗寺下り松、上賀茂神社。いずれも初めて訪問した所ばかりである(修学院離宮は予約なしでは入れず)。そういえば常時開放されだした京都御所にも行ったなぁ。この10年で京都に行ったら必ず訪問するようになった下鴨神社(糺の森がなんとも素晴らしい)や相国寺の承天閣美術館もきちんと訪ねました。なかなかいいラインナップだ。
京都の文化財は基本的に、安土桃山から江戸初期に建てられたり、再建されたりした豪華絢爛な建物(二条城や西本願寺の飛雲閣)が目立ち、そういった箇所をめぐるツアーが多い。しかし洛北、嵯峨野にかけては、ちょっと地味だが、もっと古かったり、有名な茶人がひっそりと建てたような味のある茶室などが多いように思う。元々がそういう場所だったということだろう。10年ほど前、初めて大徳寺を訪ねた際、細川忠興(晩年は熊本の八代で隠居)が手掛けた高桐院を見た時は感動した。忠興が利休の影響を相当強く受けていたことがよく分かる。
京都、行きたい。今は行けないだけに、余計に行きたくなる。せっかくのGWなのに。
「そうだ、京都へ行こう」(最近のは「そうだ、京都行こう」になっている)というコピーを考えた人は偉いと思う。日本人の京都への思いを見事に表現している。全然古臭くない。たぶん半永久的に使えるコピーだろう。
今行くとするなら、大徳寺、仁和寺、龍安寺あたりだろう。だいぶ長い間行っていないのだ。光悦寺もぜひもの。修学院離宮も今度は予約して行きたい。
それにしても実際に京都に行ける日は、一体いつになるのだろうか。