一人旅おやじがゆく

旅することが人生の最大の喜びである旅好きが、各地で見たもの感じたことを淡々と記します。

「こころ旅」に出てくる水平線の美しさ

火野正平の「こころ旅」が好きで、ほぼ欠かさず見ている。

最近はコロナの影響で、ロケをストップしており、現在は6年前の同じ季節の回を流している。今週は秋田県を北上中。下の写真は能代市の近くにある釜谷という海岸である。海が青く、風力発電の巨大な風車が美しい。

f:id:noaema1963:20200703144507j:image

富山、新潟、山形と海岸沿いを走るコースが多かったが、いずれも遠くに水平線を望む広々とした海だ。

残念ながら、私が住む熊本ではほぼ水平線を見ることができない。有明海八代海も内海。大きな湖のようで、海岸に立つと対岸の山々や高圧鉄塔、時として家々まで見える。それはそれで日本らしい美しい景色なのだが、時々無性に水平線が見たくなるのだ。だから太平洋や日本海の水平線を見ることができる地域は羨ましい。

県内で唯一、水平線が見れるのは天草下島の西海岸のみ。先日ドライブandサイクリングをしたあたりだ。その時の記事はこちらで。

 

noaema1963.hatenablog.com

noaema1963.hatenablog.com

 シロナガスクジラの長い旅路

海といえば、個人的に思い出すのがクジラである。俳句では冬の季語。

日本近海でも、高知や沖縄あたりではホエールウオッチングが盛んだが、私のクジラのイメージは、メキシコ沖からアラスカ沖の北太平洋を回遊するシロナガスクジラだ。

とんでもない移動距離である。

シロナガスクジラはその長い旅路で何を思うのだろうか。星空の下、寒流に乗って北へ北へと泳ぐシロナガスクジラの親子を思うと、果てしない旅情が湧いてくる。

圧倒的な孤独がそこにある。

距離を考えるだけで気が遠くなりそうだが、シロナガスクジラの下には海底まで4000メートルも5000メートル(アルプスやロッキー山脈の高さ)も暗黒の世界が広がっているのを思う時、ぞわぞわっと恐怖心が沸き起こる。体が弱って沈んでしまうと、浮き上がることはないのではないか。シロナガスクジラは死と隣り合わせで冷たい北の海を泳いでいるのだろう。

現実から逃げ出したい時、私はいつもこのシロナガスクジラの旅路を思い出す。幼い頃に感じていたような恐怖、心細さ、孤独感が一気に押し寄せてくるが、それはどこか心地いい。

いつか、アラスカを訪ね、旅するシロナガスクジラたちを見てみたい。

私以外の絶対地理感の持ち主とは

話は逸れたが、「こころ旅」(再放送)は次週、青森に入る。2年前に妻と訪ねた弘前五所川原あたりも走るのだろうか。

この番組が始まった10年ほど前は、連日20〜30キロ、自転車で走っていたようだが、火野正平も年とともに体力が落ちてきたのか、ここ数年は10キロ程度しか走らなくなってしまった。ゼイゼイ言いながら坂道を上るシーンも以前より減った気がする。

意外なのが、以前走ったり食事をしたりした場所を火野正平はあまり覚えていない。

結構頻繁に「え、ここ以前もきたような気がするぞ」といったセリフが出て、スタッフから「2年前に来ましたよ」などと言われたりしている。

私なら、数十年前に来た場所でも昨日のことのように覚えているし、辿ったコースは頭の中の地図に深く深く刻まれるので、以前走った道を忘れることは、まずない。

でも、私が異常なのだろう。

ただ同じくらい地理感覚が敏感な人がいる。

ローカル路線バス乗り継ぎの旅」でリーダー役を務めていた太川陽介だ。この人の「絶対地理感」も相当凄いものがある。あの番組の面白さは蛭子さんの鈍感さとの対比にある。現在のシリーズにはそのコンビネーションがないので、どこを面白がっていいのか分からない。2人とも地理感覚ないし。だからいつもマドンナが苦労している。

太川陽介と同じくらい地理感が鋭敏なのが、鉄道オタクとしても知られる村井美樹。女性は方向音痴が比較的多いが、この人だけは違う。地図を見ながら立体的に空間を把握しているし、時間の感覚も鋭い。何より旅にかける思いというか、目的達成への意識の高さが凄いので、一気にファンになった。

BSなどで旅番組が多いが、このくらいの旅オタクが出てきてくれないと満足できない。

とか言いながら、火野正平のゆるさは他をもって代えがたいが。