一人旅おやじがゆく

旅することが人生の最大の喜びである旅好きが、各地で見たもの感じたことを淡々と記します。

またもこだわりの地、青森県階上

またも勝手ながら個人的にこだわりのある場所を紹介したい。

今回は青森県岩手県の県境にあり、太平洋に面している階上町である。

 九州の人間なのでさすがに行ったことがない。先日紹介した富山県高岡市も九州から尋ねるには不便な場所だが、こちらはもっと遠い場所である。

なんで思い入れがあるのか―。大学時代に知り合いだった素敵な女性の出身地だから(またか。またですよ)。

その女性はフランス語を学ぶ小柄で黒目がちな人だった。九州あたりは南国で日差しが強いためか、黒目がちな人などあまり見かけないが、さすがに東京には全国から多くの人たちが集まるだけあって、「北国っぽい人たちが多いなぁ。やはり違うな~」と思わせる顔立ちの人が割と多い。

文学少女だった(今や死語かも)。渋谷のスクランブル交差点で「サガンが好きなんです」とはじめ聞いた時、恥ずかしながら私は「サザンですか。ぼくも好きです」と答えた。ではなく、フランスの女流作家(これも死語か)フランソワーズ・サガンのことである。今だったら、「サガン鳥栖ですか。サッカーはあまり見ませんが九州出身なので知っています」と答えるかもしれない。

その人は大学を卒業後、なんとなんと銀座の画廊に勤めた。バブル前夜のイケイケの頃である。なんで画廊?とは思ったが、その当時、立原正秋が好きだったらしく、どうもその世界で生きることを決めたようである。

で、そのわずか1年後、その画廊の社長と結婚してしまった。共通の友人からその話を聞いた時、ショックでもあったが、「まあそうなるだろう。仕方あるまい」と思ったものである。

その女性が青森県の階上町出身だった。どんな所か想像さえできなかった。当時はインターネットなどないから、現地に行かないことには何も分からない時代だった。

すると、つい先日、おなじみ「こころ旅」で火野正平が八戸から階上町を走っているのを見た(6年前の再放送)。「あー、こんなところなんだ」と万感の思いを胸に画面に見入った。

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霧がかかって、寒々とした空気がテレビから伝わってきた。思えば冷たい海風「やませ」には相当苦労した土地なのだろう。会津藩士らが明治初頭、会津から移り住んだ斗南藩はすぐ近くである。蒸し暑くて災害続きの熊本も相当暮らしにくい土地になりつつあるが、この北の地もまた大変な歴史を刻んだことだろう。

昨年1月、妻と青森・函館の旅をした時も、「時間があれば八戸で下車して、階上から岩手県久慈市あまちゃんの舞台)を訪ねようか」と思ったが、とてもではないがそんな時間はなかった。その旅行記は以前の記事を。

 

noaema1963.hatenablog.com

 

行けないと余計に行きたくなるのが、旅オタクである。体力と金銭的に余裕のある時にぜひ行かねば、後悔することだろう。