一人旅おやじがゆく

旅することが人生の最大の喜びである旅好きが、各地で見たもの感じたことを淡々と記します。

イタリアの崖の上の町

夕べ、NHKで欧州各地にある崖の上の町を特集していた。予想通り、7年前に訪れたイタリアのチビタが紹介された。「イタリアの丘の町一つとスイス一国を交換してもいい」と言った作家がいたというが、それも納得させる魅惑の地である。

番組に触発されて、久しぶりに以前の写真データを見てみたら、この時のイタリア旅行の写真が出てきた。せっかくなのでその際に撮影していた写真を使ってチビタの魅力を取り上げてみたい。

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ローマ帝国以前からエルトリア人が住んでいたらしい。もともとはもっと広い場所だったようだが、次第に雨や地震で周囲が侵食されて谷になり、今の形になったとか。

ローマのテルミニ駅から列車と日に数本のバスを使ってチビタへ。日本人は我々家族だけ。イタリア中央部らしい、草原と小さな集落が続く魅力的な道筋である。

 チビタ一帯の地形は阿蘇カルデラに似ている。チビタは中央火口丘の位置にあたり、谷を挟んでぐるりとチビタを取り囲む外輪山のような部分に、チビタの〝本村〟がある。

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バス停から10分も歩けば、チビタが見えてくる。建物も土の色も赤褐色。形は天空の城ラピュタによく似ている。異様と言えば異様である。丘の上に続く、急勾配の歩道を歩き門をくぐれば、チビタの集落。
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「死にゆく町」と表現した作家もいたとか。人口は10人前後らしいが、小さなレストランやお土産屋さんがぽつぽつとある。中央には教会と広場。もちろん、他のイタリアの町に比べれば、かなり小さめの広場だ。

広場の横のベンチに座っていたら、小型犬が私を見てやたらと吠えだした。それも延々と。静かな町なので、みんな何事かとこちらを見ている。笑えるくらいに吠えられた。
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数十軒の家々が広がり、その間には迷路のような路地。それにしてもこれらの建物、いったいいつ頃建てられたのだろうか。私の勘では、平均して500年くらい前の建物だと思うのだが。ローマ時代だと、もっと〝遺跡感〟が強いはすである。かと言って、150年ほど前の都市再開発で現在の形になったパリの建物と比べれば、確実に古い。ただ壁の材質にもよるので、なんとも言えないが。
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イタリアはこの糸杉が町並みにアクセントを加える。青空と褐色の壁によく映える。ゴッホの絵のようである。

海外旅行で一番印象に残ったのは、私の場合、ダントツでイタリアだ。特に田舎の小さな町は最高である。この時の旅行では、ローマのテルミニ駅近くの二つ星ホテルを拠点に、日帰りでアマルフィにも行った。とにかく感動の連続だった。