一人旅おやじがゆく

旅することが人生の最大の喜びである旅好きが、各地で見たもの感じたことを淡々と記します。

足底筋膜炎に耐えながら京都旅行

実に久しぶりに京都に来た。それも足底筋膜炎に苦しみながらの旅となった。

足底筋膜炎とは、足の裏の土踏まずあたりの測定筋膜が炎症を起こす症状で、マラソン選手らがかかりやすいとか。10年ほど前に右足が足底筋膜炎になり、半年以上苦しんだため、その後は靴選びにはかなり気を使ってきたが、今度は左足に発症。5月くらいから病院に通い、騙し騙し暮らしてきた。

しかし頑固に治らず、それでも旅行には行きたい。ようやく現実化した京都旅行。「どうにかなるだろう」「レンタサイクルを使おう」などと踏み切ったが、かなり辛いものがあった。

初日木曜日。風が強いものの快晴。京都駅近くで妻と2人、電動自転車を借りる。まずは東寺。講堂の立体曼荼羅は必見。これまで何度見たか覚えていないが、何回見ても圧倒される。空海はよくぞこんな仰々しい世界を展開しようと思いついたもんだ。下の写真は大師堂。ここも国宝。

f:id:noaema1963:20201017211720j:image

何回か書いたが、仏像は見るものを圧倒してなんぼのものだと思う。平等院鳳凰堂の再現壁画を見てもそう感じるが、仏教は民衆にとってファンタジーだったはずだ。平等院の壁画には阿弥陀様の視線ビームが描かれている。現代にも通じる漫画の世界である。

東寺の宝物館では、平安時代の羅城門に置かれていたらしい兜跋毘沙門天を見る。中国製なので足が長い。すらっとした毘沙門天である。羅城門に置かれていたというのが、なんともロマンをかき立てる。

電動自転車で三十三間堂へ。

f:id:noaema1963:20201017211836j:image

ここもスペクタクルの世界である。無数の千手観音の前には神将らの像。これらがほぼすべて国宝なのだ。見学路に展望台みたいなのが設置されていて、ちょっと高い位置からこの仏像たちを見ることができた。これがなかなか良い。

三十三間堂に行くと、いつもベートーベンの第九を思い出す。千手観音は合唱団。神将像はソリスト。中央の本尊は指揮者。みな生き生きと、しかし厳かに客席を見ている。あの勇壮なドイツ語の響きが聞こえてきそうだ。

このあたりから、足底筋膜炎の痛みが気になり出した。自転車で巡っているとは言え、やはりかなり歩いているわけで。

f:id:noaema1963:20201017212246j:image
f:id:noaema1963:20201017212241j:image
f:id:noaema1963:20201017212253j:image
f:id:noaema1963:20201017212249j:image

禅寺の建仁寺へ。「足の痛みを気にするな。無になれ」と禅問答のようなことを思いながら、枯山水の方丈などを歩く。この寺は祇園にあることもあり、観光客が多い。襖絵は複製なので、どけだけ撮影してもOK。その辺り、よく心得ていらっしゃる。

結局、京都は禅寺でもっているのでは? 南禅寺金閣寺銀閣寺、大徳寺などいずれも禅寺。戦国時代に有力者の庇護を受け、その当時の歴史遺産を受け継いでいるせいもある。豊臣家も徳川家も相当な富を注ぎ込んだ。

千年の都ではあるが、実際は400年前の歴史遺産が多い。おまけに幕末の蛤御門の変で京都の町並みは半分以上が焼けた。

などと言うと、しらけてしまうかもしれないが、木造の建造物がこれほど確かに残っているのは、奇跡的だと思う。石造りの町とは違うのだから。

建仁寺を後にして、東山の青蓮院門跡へ。電動自転車なので多少の坂道はすいすい進む。門跡は天皇家の人々を受け入れてきた格式の高い寺院である。初めて訪問。訪れる人も少なく静謐な空気に包まれていたが、40歳くらいの女性2人連れがずっと喋り続け、耳障りで仕方なかった。聞いていると話は全く中身がなく、どちらかというと囀りである。

f:id:noaema1963:20201017212512j:image

その後、平安神宮に参り、吉田山をぐるっと回り、鴨川沿いを下って自転車を返却。自転車に乗っている間は楽だが、降りると足の痛みが気になる。

逆に自転車が苦手な妻は、距離を重ねるにつれ、機嫌が悪くなった。なかなか一人旅みたいにはいかないものである。