一人旅おやじがゆく

旅することが人生の最大の喜びである旅好きが、各地で見たもの感じたことを淡々と記します。

石垣どっしり梅雨に入る

どうも、旅するおやじ旅生です。

熊本城二の丸公園から天守閣を眺めたら、象徴的な風景に出会った。

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奥に写っている天守閣は熊本地震からの復旧が進み、クリアなツートンカラーだが、手前の宇土櫓はまだ工事が手付かずの状態なのでくすんだ色合いのままだ。

ご存知と思うが、熊本城は明治10年西南戦争でほとんどが火災に遭い、宇土櫓などほんの一部の建物だけが燃え残った。戦いをやりやすいよう官軍側が火を放ったと見るのが有力。城下町の半分以上も灰になった。

宇土櫓(国重要文化財)は400年以上前に建てられている。創建時の天守閣が残っている城が全国に12か所あるが、この宇土櫓も天守閣なみの大きさ(犬山城とか彦根城と同格か、ひょっとしたら宇土櫓が大きいかも)なので、仲間に入れてやってほしいといつも思う。

ちなみに明治以降、熊本城は軍の施設になった。軍の建物の一部は戦後、熊本大学の研究棟となり、やがて昭和40年代に設立された県立第二高校の校舎となり、同校移転後はさすがに老朽化が著しかったからか解体された。跡地には現在、県立美術館が建っている。

写真は美術館の前あたりから撮影した。芝生広場は二の丸公園という市民の憩いの場。 部活の高校生がランニングしたり、家族連れが弁当を広げたりしている。

安土桃山から江戸時代には重臣の邸宅や藩校時習館が立ち並び、明治~昭和は軍の建物が立ち並んでいたエリアだ。

撮影した日は梅雨入り直前の湿気の多い曇り日で、人が少なかった。

そこで俳句を一つ作った。

 

石垣も楠も重たげ梅雨に入る

 

最近立て続けに、二人の俳人が「季語から句を作るばかりではなく、自分の主張や思いに季語を組み込む作り方もある」と語っている文章を読んだ。旅生はなるべくそうしようと考えるタイプだったので、うれしかった、というか、安心した。

ただ上の句は「梅雨」という季語主導の作品。

一人の俳人は「菫ほどな小さき人に生まれたし」という夏目漱石の句を、主張重視作句の代表例としてあげていた。確かに。ただこの主張重視の作り方、下手すると臭い句になりがちなんだよね。擬人化の表現と同じくらい難しい。おそらくは主張の強さ加減が、言い換えれば表現のうまさが大事なんだろうな。

そのあたりがセンスなのでしょう。