一人旅おやじがゆく

旅することが人生の最大の喜びである旅好きが、各地で見たもの感じたことを淡々と記します。

切腹に間に合わなかった50両

どうも、旅するおやじ旅生です。

新選組に関する記事の3本目。1977年のTBSドラマ「新選組始末記」、2004年のNHK大河ドラマ新選組!」の2本が、旅生の新選組好きに大きく影響したことは前回、お伝えしました。

noaema1963.hatenablog.com

 実のこの2本のシリーズで最も印象に残った隊士は一緒でした。

その隊士は河合耆三郎。播磨の裕福な商家の息子でした。算術が得意なので勘定方として幹部たちに重宝がられたようです。ところがある日、隊の金50両が足りないことが発覚。土方たちは河合に責任を取らせるため切腹を命じます。

河合は親から50両借りて不足分を埋めようと手紙を飛脚に託し、土方たちも猶予の時間を与えます。しかし河合の父親は仕事の都合で手紙を読むのが遅れ、急ぎ送金したものの息子の切腹に間に合いませんでした。

江木俊夫大倉孝二

新選組始末記」ではフォーリーブス江木俊夫が河合役をしました。実家からの金がいつまでたっても届かないため、切腹させようと体を押さえつける隊士たちに、「もうすぐ届くから!」と涙と鼻水で顔をぐちゃぐちゃにして抵抗する江木の迫真の演技は、今も忘れられません。中学2年だった旅生は家族と一緒に見ていましたが、あまりの強烈な展開に、家族全員が凍りついてしばらく動けなかったのを覚えています。

一方、「新選組!」では大倉孝二が演じました。こちらもよかった。ストーリーは概ね一緒。武田観柳斎八嶋智人が演じ、役柄にぴったり)が50両紛失の犯人だったのですが、武田は口を割りませんでした。切腹の場で河合は悲しげに弱々しく何度も「まだ来てないですよね」と土方たちに送金を確認するも結局は届きません。

いよいよ切腹という時、武家の出ではない河合は切腹の作法が分からず、どうすればいいか幹部たちに聞きます。そこで井上源三郎(小林崇)が優しく「形だけでよい」と答えます。実際、切腹は刀を腹の前で構えた段階で介錯役に首を落とされていたという話も聞きます。

ドラマでは谷三十郎(まいど豊)という何かと評判の悪かった隊士が介錯をしますが、一回で首を落とせません。肩や頭を斬りつけたことで血の海の中でもがき苦しむ河合を、沖田総司藤原竜也)が止めを刺しました。その直後、実家からの金50両を持った飛脚が鈴を鳴らしながら屯所にやってくるのです。あまりに辛すぎる。

展開は分かってるのにこの時も、しばらくテレビの前を動けませんでした。

旅生も「武士の心を身に付けたい」

そんなこんなで新選組にのめり込んだ旅生ですが、「自分も武士の心を身に付けたい」とまで思いを深め、通い始めたのが居合の道場でした。ちょっと笑えますね。

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週1〜2回、3年ほど通い二段まで進みました。ただその後、仕事の都合でなかなか練習の時間と合わず、結局やめてしまいました。居合の先生とは今でも年賀状のやりとりは続いています。いつか道場に復帰することを期待されているようですが、一度離れるとなかなか。でも道着や刀は大事に持っています。道場の皆さん、元気にしてるかな。

あのずしりと重い日本刀(真剣ではなく模擬刀です)を自在に振り回すのは、実のところ結構な膂力が必要とされます。たぶん時代劇に使われている刀はかなり軽く作ってあるような気がします。感覚的には斧を振る(いわば刀の重さを生かす)感じで刀を振らなければならず、時代劇のように軽やかに動き回れません。ゴルフのアイアンよりまだ重いはずです。

一時期、若い女性が二人通い始めましたが、すぐに来なくなりました。今思えば歴女だったのでしょう。

わが人生、「文弱の徒」に終わらず「侍に」と意気込んだのですが、この計画、失敗に終わりました。でもまぁ二段までよく頑張ったのでは。話のネタにはなりました。

久しぶりに刀を引っ張り出して素振りでもしてみようかと思います。運動不足だし。