一人旅おやじがゆく

旅することが人生の最大の喜びである旅好きが、各地で見たもの感じたことを淡々と記します。

海の正倉院を筑前大島から遠望

どうも。旅するおやじ旅生です。

海が見たい。それも水平線を。ということで以前から一度行きたいと思っていた福岡県の筑前大島を訪ねました。数年前、世界遺産に登録された宗像大社の「中津宮」がある島です。

 

まず宗像大社について簡単に説明します。宗像大社のHPやWikipediaを参考にまとめてみました。

宗像大社は日本神話に登場する日本最古の神社の一つ。天照大神の三女神を、沖津宮沖ノ島)、中津宮筑前大島)、辺津宮宗像市)に祀り、この三宮を総称して宗像大社というそうです。辺津宮を総社としており、一般的に宗像大社と呼ばれるのは辺津宮です。

2017年に「『神宿る島』宗像・沖ノ島と関連遺産群」として世界遺産に登録されています。登録名からもわかるように最も注目されているのが沖ノ島(島全体が構成資産)。辺津宮から約60キロの玄界灘に浮かぶ孤島で、島全体が御神体とされています。戦争の時以外、ほぼ誰も立ち入らなかったため、3〜8世紀の祭祀の跡がそのままの状態で残り、「海の正倉院」と言われています。壱岐対馬と同様、朝鮮半島へ向かう際に立ち寄る島だったのでしょう。

今回はその沖ノ島を遠くから見るため、中津宮のある筑前大島辺津宮から11キロ。神湊港からフェリーで25分)へ行くことにしたわけです。ちなみに大島には沖津宮遥拝所(これも世界遺産の構成資産)があります。

f:id:noaema1963:20211018201426j:image

まずは最もポピュラーな辺津宮(当然、世界遺産の構成資産)に行って、沖ノ島で発掘された銅鏡や金銅の馬具、装飾品が並ぶ神宝館(入場料800円)を見学。すぐ横の拝殿で手を合わせた後、近くの神湊港から13時50分発のフェリー(片道570円)で筑前大島へ。結構波が高く、ちょっと酔ってしまいました。

f:id:noaema1963:20211018201408j:image

大島の港で電動機付き自転車(800円)を借りて、島の北側にある沖津宮遥拝所へ。ちょっとした峠を越えるのですが、電動機付きなのでスイスイとクリア。

晴れてはいたけど、雲も多かったので、「沖ノ島は見えないだろうな」とあまり期待していなかったのですが、なんときちんと見えるではありませんか。嬉しい! すごく嬉しい! 約50キロも離れているのに。北海道の知床から国後島を見た時の感動に似ていました。

下の写真が遥拝所から撮った沖ノ島
f:id:noaema1963:20211018201420j:image
f:id:noaema1963:20211018201428j:image
f:id:noaema1963:20211018201423j:image

冬の季節風をモロ受ける場所なので。なんとなく北国っぽい雰囲気。

「そうか。古代の宗像一族はこの海を治め、ヤマト王権にも顔がきいたのか」と思うと、また違った景色に見えました。日本書紀編纂を命じた天武天皇の妃は宗像氏の出です。

ちなみに日露戦争日本海海戦沖ノ島の北側で展開されたため、島にいた宗像大社の関係者がその時の様子を文章に残しているそうです。

遥拝所を離れ、島の北西側にある砲台跡に。電動機付きとは言え、坂道はかなりハードで、どうにか到着。

高い所から見るので水蒸気の影響が無くなるのでしょうか、沖ノ島が一際はっきり見えました。これには再び感動。そばには風車。そして目の前には太平洋戦争時の砲台跡。去年、佐世保で見たのと同じです。

そして驚いたことに、すぐ横にトーチカの跡も。おまけに中に入れるのです。

考えてみると太平洋戦争のトーチカ跡に入ったのは初めて。歴史的に見れば旅生が生まれるたかだか18年前に出来たものなので、決して古いものではありませんが、この中で日本軍の兵士が海上を監視していたことを考えると、ヒョエ〜と言う感じです。
f:id:noaema1963:20211018201414j:image
f:id:noaema1963:20211018201431j:image

ボロボロになったトーチカの地下部分。ここで兵士が寝起きしていたのでしょうか。
f:id:noaema1963:20211018201434j:image

聞こえるのは、草っぱらからコオロギの鳴き声だけ。時折、飛行機が通り過ぎ、その爆音がみょうに秋空に響いていました。

写真には写っていませんが、逆光の中、微かに壱岐対馬が見えました。山口県の西海岸ははっきりと見えました。コスモスもとてもきれいでした。
f:id:noaema1963:20211018201417j:image

自転車で引き返し、港近くの中津宮(もちろん世界遺産の構成資産)に。きれいにはき清められていて、清々しい空気に包まれていました。おみくじを引いたら「中吉」でした。
f:id:noaema1963:20211018201437j:image

下の写真は拝殿の前から九州本土を写した写真です。
f:id:noaema1963:20211018201411j:image

16時20分発のフェリーで神湊へ。今度は揺れをあまり感じないよう、下の階の中央部の席に座りました。

思っていた以上に充実した日帰り旅でした。

筑前大島への旅、ぜひお薦めします。それも気圧配置が冬型かそれに近い日。乾いた北風で空気がクリアになるので沖ノ島がよく見えるはずです。その代わり、船は揺れますが。