一人旅おやじがゆく

旅することが人生の最大の喜びである旅好きが、各地で見たもの感じたことを淡々と記します。

出雲の古代史の現場を訪ねた

どうも。旅するおやじ旅生あらため旅吉です。

なぜ改名したか。特に大きな理由はありませんが、なんとなく旅生という名前がしっくりしないから。旅吉の方が愛嬌があるし、リズムもいいし。

で、旅吉はこのGW期間中、1人でキャンピングカーに乗って熊本から福井県小浜市まで日本海を旅してきました。なぜ日本海沿いを選んだかというと、観光客が比較的少なそうだし、因幡・但馬・丹後・若狭はだいぶ行っていないから。

帰りの大阪南港〜新門司のフェリーを入れると6泊7日の結構な長旅になりました。記録の意味も含めて、数回にわけて印象に残った場所を紹介します。

まず最初は、3年前に行ったばかりではありますが、島根県の出雲地方。

古代史に興味を持って1年半。以前とは違う見方で出雲を楽しむことができました。

みなさんご存知の通り、出雲は神話の里です。何しろ古事記の神代では「国産み」「天孫降臨の神話」と並び、「出雲神話」が重要なパートを占めています。大雑把に言えば、アマテラスの弟であるスサノオ高天原を追い出されて出雲に降り立ち、国作りをして、やがてはスサノオの血を引くオオクニヌシ高天原に「国譲り」をするというストーリー。

古事記だけではなく、古代の出雲を特徴付ける書物として、奈良時代に出雲の国造(地元の有力者。今で言うなら県知事レベル?)が編纂した「出雲國風土記」がほぼ完全な形で残り、古代の出雲の様子を今に伝えています。ちなみに他に残っている風土記には常陸、播磨、豊前肥前のものがありますが、出雲に比べ完全ではなく、おまけに中央から派遣された国司ら役人の手でまとめられているようなのです。

こうして出雲=神話の国とされてきましたが、神話はあくまで神話であり、考古学的な裏付けがない時代がずっと続いていました。

ところが1980年代半ば、ビッグな考古学的な発見が。出雲市で銅剣358本をはじめ銅矛、銅鐸などがこれまでにない数、発掘されました。荒神谷遺跡と呼ばれています。これにより「出雲は、古事記の神話の舞台となるほど先進的で有力な地域だった」ことが裏付けられました。文献(と言っていいのかな)と出土品がクロスしたわけです。

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上の写真が荒神谷遺跡で出土した銅剣。もちろん国宝です。展示してあるのは出雲大社の横にある古代出雲歴史博物館。見事でした。

荒神谷遺跡の発掘の後、もう少し山に入ったあたりにある加茂岩倉遺跡からも多くの銅鐸が出土。弥生時代において出雲が銅鐸(主に関西一帯から出土)、銅剣(主に九州一帯で出土)の両文化が交錯する重要な地域であることが重ねて印象づけられました。この遺跡の銅鐸も歴史博物館に並んでいました。でも銅鐸って不思議な形ですよね。今もって慣れません。
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さて博物館に行った翌日、荒神谷遺跡を見に行きました。前日夜はわざわざ近くの「道の駅湯の川」で車中泊。6時過ぎにはそこを出発し、7時前には公園化された遺跡を見学していました。それにしても誰もいない遺跡を歩き回るのは、なんとなく少しばかり怖かったです。

場所は出雲平野が尽きて、中国山地に差し掛かる微妙な場所。しかしこの場所になぜあれほどの多量の銅剣や銅鐸が埋められたのでしょうか。資料館もあったのですが、当然ながらこの時間なので入ることはできませんでした。


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もう一つ、出雲の弥生時代を特徴付けるのに「四隅突出型墳丘墓」と言う墳墓があります。下の写真は、荒神谷遺跡から車で15分ほどの西谷墳墓群史跡公園に復元されたものです。この墳墓は、箸墓古墳卑弥呼の墓と推測する向きもあり)などの前方後円墳がどんどん作られる古墳時代以前のものです。出雲を中心に山陰、山陽北部、北陸にも存在。ヤマト王権成立以前あるいは同時期に日本海沿岸に独自の文化圏があったことを示す象徴的な存在なのです。
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墳丘墓の横には出雲商業高校があり、野球部の生徒たちが早朝練習してました。1年生なのでしょうか、先輩たちに「おはようございます」を連発する声があたりに響いておりました。
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松江城を横目に見て(さすがにGW。あさ9時の段階で駐車場は満車でした)、中海の島々を抜けて、境港から島根半島へ。美保関灯台美保神社を訪ねました。上の写真は美保神社

長くなるのでこの辺りは別の回で。