旅吉です。
NHKの朝ドラ「ばけばけ」では今週から、旅吉が住む熊本に舞台が移った。ヘブン先生が第五高等中学校の英語・ラテン語の教師として赴任したのだ。
時は明治20年代半ば。旅吉の祖父が生まれる10年ほど前である。ちなみに祖父は明治34年、昭和天皇と同じ年に生まれている。明治は実に遠くなった。旅吉が子供の頃、文久や慶応など幕末生まれのお年寄りがまだ存命だと時折耳にしたが、今や明治生まれでさえゼロなのだ。
話が早々に飛んでしまった。
ヘブン先生は松江が大好きだったけど、熊本はお気に召さず、何かと不満をため込んでいる様子が連日放映されている。「熊本では日本らしい歴史や文化を感じることができない」というのが理由らしい。
妻のトキもその両親も熊本での暮らしがしっくり来ないようで、熊本の人間としては複雑な思いで毎日見ている。
下の鼻が欠けた石仏は、ヘブン先生こと小泉八雲が気に入っていたらしく、旧制五高(現熊本大学)の裏手の小峰墓地に今も残っている。たぶん、朝ドラにも出てくるのではなかろうか。

確かに当時の熊本にはヘブン先生の興味をひくものが少なかったかもしれない。十数年前には西南戦争で熊本城の天守閣をはじめ、城下町のほとんどが消失。第六師団が置かれ、熊本は九州を代表する軍都であり、松江のようにゆったりと雅な空気はなかったのだろう。
ちなみに夏目漱石もヘブン先生が熊本を去って数年後に、同じく旧制五高の英語教師として赴任したが、やはり熊本という土地に愛着を感じないまま、ロンドンに留学へ行ってしまった感じがする。
下の写真はドラマにも出てきた、旧制五高の校舎(国重文)。

五高記念館として開放されている。入場無料。ちょうどヘブン先生の企画展もやっていた。下の写真で、横向きで写っているのがヘブン先生。その右側の白髭の人は幕末、会津藩の公用方として活躍した秋月悌次郎。その高潔な人格と教養にヘブン先生もほれ込んでいたらしい。五高記念館に展示された写真を撮影してきました。


五高時代の教室の様子も再現されている。

この廊下をヘブン先生も漱石先生も歩いた、と思うと実に感慨深い。五高記念館に来るといつも「ここが熊本で最も素晴らしい場所なのではないか」と小さく感動してしまう。

記念館のあちこちに「ばけばけ」のパネルがあった。
観光客の姿もほとんどない。でも訪れて損はないスポットだ。展示品や説明版を見ていると「え、こんな人も五高に通ってたんだ」と驚くこと間違いなし。