一人旅おやじがゆく

旅することが人生の最大の喜びである旅好きが、各地で見たもの感じたことを淡々と記します。

現代日本のツッコミ文化 もう30年

旅吉です。

冬なのに暖かく、車中泊に出るには最適なのだが、なぜだか旅に出ていない。旅吉にしては珍しく、自分の部屋に根が生えてしまった。で、YouTubeや大相撲を見たりしている。

評論家で編集者の山田五郎さんのYouTubeは美術好きには大変参考になる。そして面白い。この人と仲がいい人に、みうらじゅんさんがいる。旅吉はこの人のファン。だいぶ長く続いているテレビ番組「見仏記」(本にもなっている)では、いとうせいこうさんと二人であちこちの仏像を見て回り、好き勝手な解釈や仏像への熱い思いを語っている。

山田さんのYouTubeでも仏像のことを熱く語っていた。

その番組で、山田さんとみうらさんが「いまの日本は、ツッコミ文化」と強調していた。みうらさんは「自分は一貫してボケ。やたらツッコミを入れてくる人がいるけど、あれはどうもねぇ…」といった発言をしていた。「もっと泳がせてほしい」「山田さんは自由に泳がせるのが上手」とも。

「そうそうそう」と旅吉は、わが意を得たりとばかりに膝をたたいた。

よく「生きづらい社会」という表現を耳にする。これってこの「ツッコミ文化」が大きく影響しているのではないだろうか。

旅吉が高校生のころまで(1970年代まで)、あまり「ツッコミ」というのが表に出ることはなかった。もちろん大阪の漫才でボケとツッコミという役割分担はあったものの、それが実社会に影響を及ぼしていなかった。

ところが「笑っていいとも」が始まった83年ころから風向きが変わってきた。明るさとスピードが大事にされるようになった。そして、とんねるずが人気者になった90年ころからボケの地位が低下し、ツッコミの格が上がってきた。ちなみに、とんねるずは「両ツッコミ」と個人的に解釈している。今でもよく聞く「〇〇してんじゃねぇよ」というツッコミは石橋がよく使うセリフだった。

その後、ダウンタウンをはじめとする吉本芸人が活躍するのに合わせるように、ツッコミ文化が日本を席巻することに。以来、今もってツッコミ文化が世を覆っている、と思う。ボケが自由に泳ぎ回って、味のある発言をするという場面は意外と少ない。

誤解を恐れずに言うと、都会に行けば行くほど、知的レベルが高い集団であればあるほど、活動的であればあるほど、ツッコミ文化は濃厚のように思う。人のミスや人間味あふれる言葉を笑いのネタにし、格下に見る。

はっきり言って「ツッコミ文化」嫌いです。というか、ツッコミ側に立つ人間には甘えがある。例えて言えば、ボケのレベルは10段階くらいに細分化していて高度なのに、ツッコミはせいぜい5段階くらいな雑な世界(なんかわかりにくいな)。それなのに、その雑なレベルにもかかわらずツッコミをかましていれば、それなりに一目置かれる。

これは芸人だけではなく、実社会にも見受けられる。

みうらさんと山田さんの言葉に強く感銘を受けた一日でした。