一人旅おやじがゆく

旅することが人生の最大の喜びである旅好きが、各地で見たもの感じたことを淡々と記します。

熊本・大分の県境を巡る日帰りドライブ

1週間ほど前になるが、久しぶりに一人日帰りドライブをした。

熊本と大分の県境をたどった。

ルートを記すと、熊本市の自宅を午前10時半出発→植木温泉(熊本市北区)→隈部氏館跡(山鹿市菊鹿町)→県境越え大分県→鯛生金山(日田市中津江村)→県境越え熊本県→鍋ヶ滝(小国町)→杖立温泉(小国町)→県境越え大分県→松原ダム湖畔を通り熊本県菊池市経由で熊本市の自宅に到着。

お湯が半分しか溜まってないのに

植木温泉は15年ほど前から頻繁に訪ねている(週2回行ったことも)。この日は、とある旅館の温泉に入った。料金は400円。午前11時半前に受付して入ったら、何と大きな浴槽にはお湯が半分ほどしか溜まってない。受付の時に言ってくれればいいのにと、ムッとする。というか、この状態でよく入浴させたなと思う。せっかくお湯の質が良いだけに(アルカリ泉質ならではのトロトロ)もったいない。ぶつくさ言いながらも30分近く入浴。ようやく5分の4ほどまで溜まったところで上がる。

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その後、山鹿市奥座敷と言われる菊鹿町を通って県境を目指す。途中で国史跡の隈部氏館跡に立ち寄る。標高400メートル足らずの典型的な中世山城。隈部氏は肥後の守護大名だった菊池氏の有力家臣である。菊池家が弱体化した室町後期には有力な国衆となり、豊臣秀吉の時代には国衆一揆に参加。一揆鎮圧後、この山城は破却された。今も庭園の庭石や礎石跡が残る。

中世山城に人影なく

ここに来たのは2回目。あいにくの曇天。ただこの館跡はこのくらいの天候の時が戦国時代のイメージが膨らむ。何より450年前の庭園が名残を残しているのが面白い。それもこんな山中に。家臣団が山麓から上り下りするのはさぞ大変だったことだろう。山城を訪ねるといつもそう思う。

 

国史跡ではあるが、前回と同様、全く人影なし。BSなどで歴史物の番組が増えはしたものの、さすがに中世山城となると関心を示す人々はごくごく限られているのだろう。

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県境を目指す。棚田と彼岸花で有名な集落「番所」を過ぎると、人家は姿を消す。杉林の中をひたすらうねうね。熊本から日田方面を目指す場合は普通、九州自動車道大分自動車道を使う。県境の山を越える道が数本あるが、いずれも地元民が使う程度のようだ。この日も番所から鯛生金山に至るまで、すれ違う車はほぼなかった。小雨が降り続け、杉林が続く山々は陰鬱な感じである。北国と違い、西日本の常緑樹の山々は晩秋から早春にかけは、黒々として彩が少なく、残念ながら魅力に乏しい。

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鯛生金山は恋人同士や家族連れが楽しむところなので、おやじは一人、駐車場横の食堂で昼飯を食べるにとどめる。椎茸や鶏肉がふんだんに入った特製そば。700円。まあまあ満足。最初は客は私一人だけだった。そばをすする音が狭い食堂に響き、旅情を掻き立てられる。

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県境のうねうね山道に疲れたので、どっち方面に行ったが楽なのか昼食後にネットで検索。運転が楽で、温泉があって、変化に富んだルートを探す。この辺りからは八女、日田、小国へ向かう3つのルートがある。八女に行くには山越えがハード。日田に行ったら自宅に帰るのが大変。ということで小国へ。

鍋ヶ滝に感動した

ネットフリックスにある「男はつらいよ」の音声だけ聞きながら、山道を進む。ストーリーから何からほぼ覚えているので、音声だけでも十分なのである。音無美紀子がマドンナだった第28作「寅次郎紙風船」、いしだあゆみが出る29作「寅次郎あじさいの恋」を鑑賞する。両作品とも全シリーズの中で特にしっとりした空気が強調されている。特に29作で寅さんはいしだあゆみ演じるマドンナと「ほぼ両想い」になる。しかし寅さんは身を引く。幼い吉岡秀隆が大事な役割を演じた最初の回でもある。

また県境を越え、熊本に入り小国町へ。初めて鍋ヶ滝を訪ねた。小国町は少なくとも100回以上訪ね、あちこち温泉を巡ってきたが、鍋ヶ滝の素晴らしさを知らぬまま歳を重ねていた自分が恥ずかしいばかりである。

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何しろ滝の裏側に行けるのだ。その空間は宮崎県高千穂町にある天岩戸神社天安河原に似ている。滝の近くに立派な駐車場もあり、県外ナンバーが並んでいる。料金所があり300円を徴収される。「滝を見るのに金を?」と一瞬思ったが、滝に向かう遊歩道はきちんと整備されているので、仕方ないか。

これまであまり滝に関心を示してこなかった私だが、今回ばかりは感動した。観光客もみんなそうみたいで、「うわーすごい」という表情をしている。写真をやたらと撮る。滝近くの岩の上には「誰かが意識的に置いたのか」と思わせるような椿がポツリポツリ。それにしても一人きりで観光しているのは私だけだった。ずっと確認し続けたから間違いない。

杖立温泉を目指す。河原の駐車場のすぐ横にある旅館で入浴。500円。この旅館が一番たくさんの湯けむりが出ていたので選んだ。杖立温泉は無色透明だがお湯の温度が高く、そのあたりがいかにも有名温泉地な感じがして好きである。温泉とラーメンはぬるいとダメだ。個人的な感想だが。

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その後、引き続き寅さんを聞きながら、山越えルートで菊池市に出て自宅を目指した。考えてみると、杖立温泉を出発するまで小雨で、本降りになったのはその後だった。日頃の行いのおかげだろう。

前回、ブログへのアクセス数の少なさを「50本まで書いてみたものの」と題してアップした。

 

noaema1963.hatenablog.com

 ところが、どういうわけか先日、アクセス数が異様に増え続け、130を超えた。普段は良くて15なのに。どうしたわけだろうか。理由が分からず、怖い。疑心暗鬼に陥る。とんでもない災いが発生しているのだろうか。