一人旅おやじがゆく

旅することが人生の最大の喜びである旅好きが、各地で見たもの感じたことを淡々と記します。

鹿児島はやはり火山だ

定年後、可能な限り車で長い長い旅を続けるという計画。現実にするべく、以前も書いたが車の中を環境整備を図っている。

まずはサンシェードを購入。百円ショップで便利グッズを買い込んだ。

そしてこの土日を使って旅に出た。関西を旅したばかりというのに。いやいやいいのだ。人生で一番自由に金を使えるのが今なのだ。子供たちは独立し、ローンもない。

私は自分の健康寿命を60代後半に設定している。特に理由はないが、なんとなくである。その後、しばらく介護状態になり、70代後半で鬼籍に入る。自分の運勢、体力気力などから総合的に判断した。

旅の行先は鹿児島だ。

何回も旅した県だが、その中でも15年以上行っていない指宿方面を目指した。

土曜の午後、熊本市の自宅を出発。八代の日奈久温泉に入ったり、出水市の米ノ津港やコメダ珈琲でぼんやりしたり、薩摩川内の高城温泉に浸かったりしながら、午後10時ごろ、道の駅喜入へ。愛車(というほど愛していないか)プリウスαの後部座席を半端フラットにしてマットレスを敷く。道の駅には何台か先客。トイレもある。まぁ安全だろう。

星空が綺麗だったので、一句。

 

示現流の刃の如く星流る

 

サンシェードを取り付けて、早速寝てみる。ところが、なんとなく寝心地悪し。どうしても自分でセッティングすると雑になる。背中あたりに妙な隙間ができて、それが不快。結局、薄〜い5時間ほどの睡眠しか取れなかった、

しかしそれもよし。今回の旅は一人きりの車中泊長旅が現実的にはどんなものか知るのが目的なのだ。「寝るときのセッティングは徹底してこだわろう。雑にやるな」。胸に刻むこととする。

喜入からからに南下。しばらく行くと「道の駅指宿」。車中泊ならこちらが良かったようだ。なんとなくです。こじんまりとしているけど。

錦江湾がとにかく明るい。桜島大隅半島の山々がくっきりと浮かび、屋久島行きの高速艇が波を切っている。熊本にはないメリハリのある景観。「火山活動の活発な土地」という感じがする。思えば、熊本は「火の国」などと言われるが、やはり鹿児島には遠く及びません。景色が「ズドン、ズドン」としている。分かるかなぁこん感じ。熊本の景色はもっと、よく言えば穏やか、悪く言えばメリハリがない。

やがて指宿の代表的な名所・知林ヶ島。潮が引くと歩いて渡れるらしい。北風が強くて、白波が綺麗だった。観光客も多く、アマチュア写真家が熱心に撮影していた。撮りたくなる気持ちわかります。

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知林ヶ島と対面している風景が下の写真。
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インディアンの砦がありそうだ。火山地帯ならではの景観である。荒々しい。

その後、指宿の町中にある歴史の古い小さな温泉場に向かうも、「県外の人お断り」とあちこちに貼ってあり、流石に入れませんでした。このご時世、無理もない。地元のお年寄りを大事にしている温泉場なのだから。

そこで図書館に行くことにする。

日本全国を巡り、その土地の歴史や風土を知りたいのだから、やはり図書館だ。そのうち「日本の図書館のことなら、あいつに聞け」と言われるのではないかなどとニタニタ想像しながら向かったが、なんと「工事のため閉館中」。ふられ続けである。

今度は山川の温泉に向かう。太平洋に面した有名な温泉場があるのだ。

ヘルシーランド温泉保養館にある「たまて箱温泉」。正面には太平洋。右手には開聞岳。右手には、これまたアメリカの砂漠地帯にでもあるような「竹山」(名前は日本的)。

 

写真は「ヘルシーランド保養館」のホームページから引用

若い観光客で賑わっていた。泉質極めてよし。景色も最高によし。ただお湯が熱めのせいか、みな湯船の縁に座り、集団の若い入浴客が声高に会話をするので、なんとなく落ち着かない。「お湯に入る気がないのなら、どこか海岸にでも行って、思う存分話し込んでこい」と言いたくなる。

それにしても急角度で屹立する山々は、この辺りが火山地帯であることを感じさせる。

温泉から上がってしばらくすると、ググッと眠気が襲ってきた。何しろ睡眠不足なのだ。

山川港の道の駅で、カツオのたたき定食を食べる。この港は西郷隆盛が二度の島流しの際に出航した港だ。幕末史にかぶれた15年前だったら、さらに感動したことだろう。指宿でもう1箇所温泉に入り、久々に知覧へ。

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武家屋敷が整然としている。ここも文化庁指定の重要伝統的建造物群保存地区である。

数軒が観光客向けに庭を開放している。その中の一軒で、家の女性が歴史を説明してくれた。琉球文化の影響も随所に見え、山々を借景にしていて美しい。火山灰なのか、地面はどこも白い砂がうっすら覆っている。

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火山岩らしいがっちりとした石が目立つ。鹿児島県の各地に「麓」と呼ばれる士族の居住エリアが見られるが、このがっちりした石垣が薩摩の武家屋敷の独特な雰囲気を醸し出している。
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帰途につく。ハイウェイからは桜島とその先の霧島が見事だった。やはり鹿児島は火山だ。

結局、睡眠不足のまま、自宅に帰り着き、泥のように眠った。翌日の仕事に疲れを残したのはいうまでもない。

でもそれでいい。