一人旅おやじがゆく

旅することが人生の最大の喜びである旅好きが、各地で見たもの感じたことを淡々と記します。

行ったことがなかった場所

どうも。旅するおやじ旅生です。

やがて60年近くも生きていると、自分が暮らす熊本県内で「行ったことのないエリア」というのはほとんどなくなります。特に車の免許を取ると、誰にせがまずとも好きな場所に好きな時に行けるわけなので〝未開拓エリア〟は急激に減ってしまうのです。

とは言いながらも、旅生には2カ所だけ行ったことがない場所があります。

2カ所とも天草下島。一つは下の地図にある通り、天草下島東海岸にある中田港から南側。

 

一般的な熊本市民(親戚がいる人などは別)にとって、このあたりの海岸を訪ねる機会はかなり限られるはずです。地図にある国道266号線を使えば、天草下島はスイスイと縦断できるのです。

ただ気になります。「どんな感じの集落があるのだろう」「店とかあるのか」。

というわけで、愛車レクビィ(バンコンのキャンピングカー です)に乗って、まずは天草市の中心地である旧本渡地区を東側に。

結果から言います。想像以上に道幅は狭く、つらい道のりでした。

ひたすらリアス式の海岸線(と言っても天草西海岸の猛々しさはありません)に沿う形でウネウネと進んでいきます。道路幅は時折片側一車線の二車線になるけど、多くは一車線。

小さな集落のある入江を過ぎたら岬へ進み、岬をやり過ごしたらまた入江、というのが延々と続きます。反対側から来る車と離合(これ、熊本弁です。狭い道ですれ違う時に使います)することはほとんどなし。集落では時々お年寄りの姿を見掛けますが、どちらかというとじーっとこちらを見る猫の姿が目立っていたような。

電波状況も芳しくなく、比較的状況のいい中田港にしばらく車を止めて、テレビで大相撲中継見ました。地元出身の大関正代が「また負けはしないか」心配でたまりません。この日は珍しく(正代関、ゴメンね)余裕で勝ったので安心。

車窓からは鹿児島県長島の島々。その向こうには九州本土がうっすら見えます。

「このあたりの雰囲気どこかと似ているぞ」としばらく考えたら思い出しました。

対馬東海岸によく似ているのです。入江→岬→時々山道。商店は極めて少ないけど、自動販売機は比較的多い、パターン。対馬を訪ねてもう10年ほどになります。韓国人旅行客が増え始める直前の時期でした。

さて、天草下島東海岸の南下作戦。南端に位置する牛深の町まで海岸線を進みたかったのですが、すっかり疲れ果て、浅海町という漁港まできた段階で、西側を走る国道266号線へと移動してしまいました。我ながら根性なし。

この日の車中泊は、フェリーターミナルでもある「道の駅うしぶか海彩館」。まだキャンピングカーでの睡眠に慣れていないのか、いつもHPは7割ほどしか回復しません。

朝から牛深の町並みを見下ろせる「遠見山公園」(江戸時代は異国船を監視する番所が置かれていました)に上り、その後、2カ所目の未開拓エリアである「向辺田(むこうべた)」へ。

下の写真は公園からの風景。

f:id:noaema1963:20220321220845j:image

 

2枚目の地図です。本当は1枚の地図に2カ所分の印を付ければいいのでしょうが、旅生の知識では無理です。ネットで調べればいいのに、面倒くさがりやです。

2カ所目の未開拓エリア「向辺田」は魚貫崎(おにきざき。これも難読ですね)の北側に位置して東シナ海に面した西海岸です(地図に丸印を付ければよく分かるのですが)。

熊本弁で「むこうべた」は「向こう側」の意味。旅生の推測では「山の向こうの海沿いのエリア」という意味で牛深の漁師たちが呼んだのではないかと思うのです。

今回、魚貫崎にも初めて行きました。水平線を望む小さな集落でした。

さてここからが問題。以前から詳細な地図を見て向辺田への道筋を確認していたのですが、海岸に到る、それらしき道がないのです。向辺田に人が住んでいるか否かも疑問。現地に詳しい知り合いに聞いてみても分かりません。

で、意を決して、魚貫崎から細い道を北側に向けてGO。

ただ道幅はどんどん狭まり、車一台通るのがやっと。集落外れの民家を過ぎると、やがて「これ以上は絶対無理だ」と思わせる雰囲気に。「引き返す勇気も必要だ」とばかり、小さな空き地を使ってレクビィを必死こいて反転させました。

どうも目の前に連なる高さ50メートル程度の山を越えれば、向辺田を見下ろすことができるのでしょう。なんとなくそんな感じがしました。残念でした。

今回の天草下島訪問で、「この島の端端には、長崎などの離島と共通した雰囲気が残っているなぁ」という、当たり前といえば当たり前の感想を持った次第です。

下の写真は魚貫崎。

f:id:noaema1963:20220321221045j:image