旅吉です。
一人車中泊を繰り返していると、意外と会話する機会が減ってしまう。コミュ力が高い社交的な人ならそんなことがないんだろうけど。。。
話しかけられるケースも少ない。もしかしたら「安易に話かけてこないで」というオーラが出ているのか。そんなつもりはないが。
なので、説明好きの資料館のガイドさんなどがいたら、旅吉も「この時とばかり」会話を楽しむ。
先日の中国地方旅で訪ねた広島県北広島町でも会話が盛り上がり、あとで来られた観光客も一緒に2時間近く過ごすことになった。
場所は古保利薬師という小さな廃寺跡。国重要文化財の仏像群が地元の人々の手で大事に守られている。近くの道の駅で存在を知り訪ねた。
まだ天平時代の名残がある平安初期の仏像などレベルの高い仏さんがずらり。京都に近づくとやはり違うなと感心する。
訪ねる人はほとんどいないらしいが、地元保存会のおじさんが一生懸命説明してくれた。仏像好きの旅吉にとって至福のひと時だ。
説明を聞いている途中、地元の老夫婦が来られた。ガイドさんも顔見知りで、親しげに挨拶されている。
説明が終わると、老夫婦の男性が「熊本から来たんですか? キャンピングカーが下にあったけど」と聞いてこられる。「今から50年ほど前、わしも熊本に住んでたんよ」。
旅吉も昔の話は大好き。「どのあたりに住んでたんですか」と聞くと、昔の記憶を引っ張り出しながら「昔の飛行場(今は日赤)のすぐ近く。見渡す限り農地で芝の栽培が盛んだった」「郵便物は水前寺公園近くの郵便局まで取りに行かにゃぁならんだった」など懐かしそうに話される。
旅吉が小学校低学年頃の話。その頃のイメージを思い出しながら話していると、タイムスリップしたようになる。
「飛行場に曲がる所にカドウチできる酒屋があったが、もうなかろ?」と聞かれるのでGoogleマップで調べるとコンビニになっていた。
当時賑わった街中のキャバレーの名前をどんどん上げられる。さすがにいずれも存在しない。そういや、うちの親父もよくキャバレーに行ってたなぁ。遠い目になる。
こちらまで懐かしい気分になった。
その男性、脱サラして故郷の北広島で刀の研師になられ、今も続けられているそうだ。伝統の技を持ってらっしゃる方は羨ましい。
「今度は家族も連れて来てください」という声を背に受けながら古保利薬師を後にした。
いい思い出になりました。