一人旅おやじがゆく

旅することが人生の最大の喜びである旅好きが、各地で見たもの感じたことを淡々と記します。

青森の霊場そしてウミネコ

旅吉です。

下北半島に上陸した翌朝、恐山に立ち寄った。初めての訪問。というか下北半島に来るのは今回初めて。熊本から訪ねるにはそれなりの労力がいる場所なのだ。

子供の頃からビビリだった旅吉は、恐山の存在をとても怖がっていた。何より字面が恐ろしい。日本地図を見るたびに「地獄の入り口が青森県にあるんだ」と思い込んでいた。

大人になってそんな感情は消えてしまったが、「ああ、あの恐山に来たんだ」という感慨はあった。

朝7時半に到着。500円の入山料を払って霊場である恐山菩提寺に入る。平安の初期、天台宗の寺院として創建されたが、その後衰退。戦国時代に南部氏のバックアップで曹洞宗の寺院として再興した。

天気は悪し。北海道と同様、太平洋に近いと寒流の影響で霧や雲が出て視界が悪くなる。ただ霊らしさがより強まり、これはこれでいいかな。

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風車があちこちに。参拝者の思いが込められている。しばらく前にNHKの72時間で取り上げられてた。東北は72時間のネタの宝庫だ。
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霊場は賽の河原をイメージしたエリアと、極楽をイメージした宇曽利湖の浜辺のエリアに分かれる。ぐるっと歩いて30分くらい。

地元では「人は死んだらお山に行く」と言い伝えられており、72時間では岩手県久慈市の夫婦も娘の供養に来ていた。信仰のエリアは結構広そう。


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宇曽利湖はカルデラ湖。霊場全体がカルデラの中にあるわけで、硫黄の匂いが霊場を包んでいる。

なので温泉もある。当然入浴した。入山料を払っていれば入れる。白濁した登別温泉のような湯。お湯の温度もちょうどいい。外観も中も、江戸時代のまんまという雰囲気で、すごく得した気分になる。

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72時間といえば、先日放映された八戸市の「ウミネコ神社」もその日の午後訪ねた。日曜日出航の秋田発フェリーに間に合うよう、先を急ぐ旅になった。
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八戸の漁港のすぐ近く。鎌倉時代創建の蕪嶋神社がそれだ。国際的にも珍しい繁殖地になっている。

写真では分からないけど、とんでもない数のウミネコが神社を包み込んでいる。その鳴き声の賑やかなこと。地面のあちこちに(というかほぼ隙間なく)白い糞の跡。油断すると悲惨な目に遭う。参詣者には糞よけの傘も準備されてる。

頑張って拝殿まで辿り着き、お参りしました。拝殿あたりは動物園の匂いだったなぁ。階段の脇や賽銭箱の横に巣を作っているウミネコがたくさん。人間を警戒しない様子が可愛らしかった。
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結構な数の観光客が訪ねてた。でも拝殿までは登らず、下で写真撮ってるだけの人が多かったような。拝殿まで行くには、それくらい覚悟がいる。

この日は72時間の聖地巡りになった。