一人旅おやじがゆく

旅することが人生の最大の喜びである旅好きが、各地で見たもの感じたことを淡々と記します。

工場群、干拓地、いいね八代

地元八代市の魅力的景観、海沿い編。

前回は展望台から俯瞰した八代市を紹介したが、今回は海沿いをたどってみた。

まずは球磨川河口の景色。正確には球磨川支流の前川河口。八代大橋のあたりから天草方面を望むと、八代内港の工場群が見える。農業県熊本にはあまり見かけられない景観。福岡や大分のひとたちには見慣れた景色だろう。

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同じ位置から東側を見ると九州山地が結構近い。500メートル前後の山並みが南北に連なっている。その山々の向こう側には千メートル、さらにその先、球磨川源流域には1500メートルを越す九州脊梁山地がそびえているが、その辺りを見ようと思ったら、車で2時間以上、山を分けいらなければならない。その遠く果てしない奥深さを感じさせるのが、八代から見る九州山地の魅力なのだ。

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話を海沿いに戻す。

球磨川本流の河口に水島という昔からの名所がある。国指定名勝の実に小さな島で、日本書紀に登場する。景行天皇がこの辺りで食事をした際、水がなかったため、随行の者が神に祈りを捧げたところ、水島から泉が湧いたという。万葉集にも詠まれ、古代から有名な場所だった。江戸後期の干拓事業で陸地に取り込まれるところだったが、国学者の建議で、その部分だけ予定を変更して堤防を湾曲させ、島として残したのだ。江戸期に文化財保護の精神が存在した証となっている。

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あたりは渡り鳥の飛来地で、なんとなく賑やか。干拓地は比較的、白々とした雰囲気が漂いがちだが、この辺りはどこかしら雅なものがある。

干拓地の堤防沿いの道を車で走ってみた。

小さな駐車場に、仕事をサボって中で昼寝しているらしい車が目立つ。さらに進むと、70代くらいの男の地元民が3人、堤防にもたれて世間話。前を通り過ぎる私の車をじーっと目で追い掛ける。よっぽど暇なんだろう。その後はだれにも出くわすことなく日奈久温泉のあたりに出た。

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道端に桃色の花。何という名前なのかは知らないが、実にきれいでした。