一人旅おやじがゆく

旅することが人生の最大の喜びである旅好きが、各地で見たもの感じたことを淡々と記します。

旅で出会うとんでもない建物

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台北駅の近くにある度肝を抜く建物


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長浜市にあるとんでもない建物


旅をしていると時折、とんでもない建物に出くわす。

滋賀県長浜市の中心部にある建物はすごい。初めて見たときはしばらく目が離せなかった。おそらくは昭和30年代から40年代に造られたものなのだろう。どこかしら宇宙ステーションぽくもある。やたらと窓ガラスが多く、屋上にはなんだか分からないがアンテナとも送信塔ともつかぬものがある。昭和半ばの漫画に出て来そうな感じ。完成したころはそれなりに格好良かったのだろうが、今となっては廃虚のようでもあり、近代化遺産のようでもある。ただよく見てみると1階部分にはお店が入っているようでもある。それより上の階にはだれもいないようである。

あまりのインパクトの強さにネットで調べたところ、「長浜タワー」という名で呼ばれているのは分かったが、それだけ。スクラップアンドビルドが盛んなこの日本において、よくぞこの姿を今に残したものだと感心する。

長浜というのは大変いい町だと思う。秀吉が信長から城を預かった出世の地。その後も栄えた。「男はつらいよ」の最後から2、3番目の作品の舞台にもなった。常連の若きマドンナだった後藤久美子に代わって牧瀬里穂が出演した。山田洋次がマドンナに選ぶ女優の顔には共通点がある。「でこっぱち」で「あごがしゃくれ気味」。「らっきょ顔」とでも言おうか。牧瀬里穂は最も濃厚にこの特徴を持っている。牧瀬里穂が満男を案内して長浜旧市街を連れ回すのだが、さすがにこの建物は出てこなかったようである。1年前、家族で長浜に行った際、一番に私が案内したのがこの建物だった。妻に「どう? すごいだろ」と自慢げに見せたが、そこまで驚かなかった。

 

9月に訪ねた台湾の台北はこうした「とんでもない建物」の宝庫だった。台北駅近くの商店街で見た建物は長浜の建物どころではなかった。何重にも増築を繰り返したかのような、全く統一感のない外観。上の方は監視塔のようだ。いったい何を見張るというのか。エアコンの室外機など外に張りだしているが、落下しないのだろうか。壁の色は雨に打たれすぎたのか黒ずんでいる。どんな人々が住んでいるのだろう。台湾のマフィアか。中ではどんな愛憎劇が展開されているのだろうか。

写真を撮っていたら、現地の人だろうか、私をみてニヤニヤしている。「また日本人が変なものに興味を示して」とか言いたげ。それにしても一体全体、いつごろの建築物なのだろう。前にも書いたが、台湾の人々が古い建物を大事にする思いは、われわれの想像を越えているように思う。個人的には文化財指定したいところ。間違っても再開発などせず、「これぞアジア」と東洋かぶれの欧米人の度肝を抜かし続けてほしいものだ。