一人旅おやじがゆく

旅することが人生の最大の喜びである旅好きが、各地で見たもの感じたことを淡々と記します。

大浮世絵展におやじは感動した

福岡市美術館に大浮世絵展を見に行った。

歌麿写楽北斎、広重、国芳の夢の競演と銘打たれている。ここの美術館は古美術のいい展覧会をよくやってるから、がっかりすることはまずないだろうと安心して熊本を出発。古いもの好きのおやじを喜ばせるには十分な内容でした。

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個人的には写楽と広重が心に残った。

写楽はおなじみの歌舞伎役者のドアップがメイン。コミカルで、リアルで、役者の個性があふれかえっている。じっと見てるとちょっと怖い感じさえする。インパクト抜群。市川鰕蔵、四代目岩井半四郎らを描いた有名作品が並ぶ。あまりに個性が強調されすぎていて、逆に嫌がられたという話も聞く。

広重は東海道中山道の風景画。子供の頃、永谷園お茶漬けのおまけカードに広重の東海道五十三次が印刷されていた。それを集めていたのが懐かしい。広重は、上空から雨が降る江戸の町を俯瞰したり、強風に煽られる旅人を描いたり、現代のカメラマンの感性を思わせる構図が面白い。江戸時代の作というのが信じられない。風で飛ばされる笠を追う旅人など躍動感にあふれ、一枚の版画がまるでアニメのように見える。

北斎らほかの3人の作品もいいものばかり。大英博物館など欧米のミュージアムからもかき集めてある。力入れてるな、というのが率直な感想である。福岡の前にあった東京会場でもだいぶ賑わったようだ。

日本のアニメは今や世界的に注目されているが、今回の展覧会を見て、何か底流で繋がっているような気がした。もしかしたら日本人は、物事を大胆に表現するための色彩、構図、ディフォルメする力などが他の人種に比べて優っているのではないだろうか。それは安土桃山あたりから顕著に現れ、江戸期に花開き、現在へと続いているように思える。

 

美術館のコレクション展示も合わせて鑑賞した。

古美術の展示スペースでは東光院(福岡市博多区)に伝わる薬師如来立像(平安時代)、阿弥陀如来立蔵(鎌倉時代)などの国重要文化財指定の仏像数体が展示されており、なかなかの迫力だ。まだ金箔が残っている仏像もあり、かなり大事にされてきたのが分かる。 罰あたりな感覚だとは思うが、仏像には「圧倒されたい」。だから四天王像が特に好きだ。天平か鎌倉の作ならなおいい。熊本も人吉球磨地域に毘沙門天像などが結構残っており、もっと自慢してもいい材料だと思う。

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別の展示室では、琳派の祖である本阿弥光悦俵屋宗達による作品も。宗達を描いた原田マハの小説を読んでいる途中なので、親しみがわく。

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古美術展示室では、フラッシュをたかなければ写真撮影可能だった。最初はその事を知らず、デジカメでばしばし撮っている人を見て驚き、注意してもらおうと監視の人に確認したところ、問題ないということだった。えっ、そうなんだ。これまでいろんな仏像や美術品、撮りたくてもじっと我慢していたが、もしかして何も知らず私が勝手に自己規制していたのか?  ものすごく惜しいことしてきたような気がして、取り敢えず数枚撮影。撮り過ぎると「そんなに撮らないでください」と注意されそうな気がして、ドキドキしながら撮った。もちろん何も言われなかった。

 

外に出たら大濠公園がきれいだった。

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ついでに以前から気になっていた日本庭園にも入場。松の木がいい感じだった。狩野永徳の障壁画を思い出した。

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