仏像が好きだ。
特に天平時代や鎌倉時代の四天王像はたまらない。一番好きな仏像は?と聞かれれば、迷うことなく東大寺戒壇院の広目天を上げる。筆を手に遠くを睨むあの感じ、緊迫感が漂っている。
もたろん、他の持国天、増長天、多聞天も素晴らしい。戒壇院では手が触れんばかりの近さで四天王を堪能できるので、私はいつも院内をぐるぐる回って楽しむ。受付のおじさんが心配そうにしているのが気になる。新薬師寺の十二神将像も同様の鑑賞をする。俺流である。
仏像群なら、やはり東寺の立体曼荼羅。最初に見た二十代半ばの私はまさに圧倒された。なんでこんなの作ったんだ、空海よ、何を考えている‥と30分ほど動けなかった。平安時代の人が見たら、その驚きや感動はこんなものではなかったことだろう。
昨日、テレビで法隆寺の特集をしていた。ここの仏像は古代の香りが強くていい。釈迦三尊像も百済観音も荒削りな固さがあり、それでいて優美。飛鳥仏の荒々しさはないが、法隆寺の仏像を見ると「奈良に来たな」と思う。京都に比べ、大陸、というか中国の空気を感じる。
九州にもいい仏像がある。
太宰府市にある観世音寺には、6メートルほどの巨大な馬頭観音を中心に多くの仏像が並ぶ。国宝はないが、重文指定が多い。あまりに巨大な仏像ばかりなので、一人で見てると怖い。是非とも見に行くことをお薦めしたい。
前にも書いたが、熊本では人吉盆地に価値ある仏がたくさん残っている。隠れ里ならではの保存の良さである。
年に一回は、関西に仏像を鑑賞に行きたいが、今年はいつになれば見に行けるのやら。村上春樹風に言えば、やれやれ、である。