一人旅おやじがゆく

旅することが人生の最大の喜びである旅好きが、各地で見たもの感じたことを淡々と記します。

麦畑の中サイクリング

前の記事に書いたサイクリングから1週間ぶりに、またサイクリングをした。青々とした麦畑がひろがる、熊本平野の東側、阿蘇の入り口にあたる大津町を目指す。

f:id:noaema1963:20200425200541j:image

この辺りは10年ほど前にクロスバイクであちこちを巡り始めた頃からよく走っているエリアである。今書いて気がついたが、自転車の遠乗りを始めてもう10年なのだ。東日本大震災の前の年だったので記憶しやすい。仕事でよく会うおじさんが自転車の話をよくしていたので、そこで影響されたのだろう。もともと自転車に乗るのは大好きだ。

買ったのはジオス。おしゃれなイタリア野郎だ。5万円。当初はロードバイクを買う予定だったが、お店で乗ってみるとなんとなくしっくりこない。で、このクロスバイクに試乗したらぴったり来た。ちなみにロードバイクとマウンテンバイクをミックスしたのがクロスバイク

早速買って帰り家の周りを乗り回すと、これまで経験したことのない「スイスイ感」があって、一発で虜になった。青い車体も清々しい。初めは気になった硬めのサドルも、意外とすぐに慣れた。乗り回す距離もどんどん伸びて、数ヶ月で100キロコースも体験。よっぽど相性がいいのだろう、体に負荷がかからず、どれだけ乗っても疲れない。

私は自転車にあまりスピードを求めない。20キロくらいの速さで走り、「気づいたら結構な距離走っていたよ」的なイメージを追求する。映画「大脱走」(50代男子はテレビで何回も再放映をみたのではないだろうか)で連合軍捕虜のジェームス・コバーンが、ドイツ領内を盗んだ自転車で地味に逃亡するシーンがある。まさにあの感じ。セカンドイメージは火野正平の「こころ旅」でしょうか。どっちにしても「頑張らず、ゆるゆると」なのである。

最初の頃はヘルメットさえ被らず、コンビニにでも買い物に行くかのような格好で遠出していたものだ。

しかし不思議なもので、2〜3年も乗ると今度はロードバイクが欲しくなる。自転車の雑誌など買うようになり、ヘルメットをはじめとするアイテムに興味を示し出した。

で、結局ロードバイクを購入。白のトレック。14万円なり。

ところがロードバイクに乗って最初の遠乗りの日、思いの外、体に負荷がかかることを知る。そりゃそうでしょ。かなりの前傾姿勢。クロスバイクではなんと言うこともなかった距離が、結構きつかったりする。車輪もかなり細い。スピードはかなり出るが、下手すると転倒して大事故になりそうな緊張感がある(実はクロスバイクの時も転倒して肩の骨を折った経験あり)。

そのうち慣れるだろうと、この気高いアメリカ生まれの〝女王様〟と一体感を持てる日をイメージしていた。ところがある程度までは慣れはするものの、結局、今に至るまでこの女王様は私に気を許してくれない。リラックスした気持ちにさせてくれない。もちろん100キロを超えるコースを乗ったこともあったが、なんというのかな、イタリア野郎ジオスの方が空気みたいな感じがしていい。しかしこのナイスガイも年を経て老朽化。あまりきちんと世話をせず、おまけに屋外の自転車置き場に置いていたのが影響した。一方、女王様トレックは家の中に大事に置かれているので、まだまだお若い。めっきり乗る機会は減ったが。

そうこうしているうちに2年前、3台目を購入した。今度はマウンテンバイク。ジャイアント。台湾製である。4万円くらいだったかな。やっぱアジア製は悪くない。日本人のことを「わかってくれてる」感がある。乗り心地はジオスのクロスバイクと若干似ている。でも体への負荷はかかる。それはそうだろう、私も年を取っているのだから。

前置きが長くなったが、そのジャイアントに乗ってゆるゆると東に向かう。

まだ麦秋というには早いが、わずかに茶色に変わりつつある麦の穂が風に揺れる。今日は風が強く、時折、音もなくさわさわと穂が揺れる。あのやさしげな風景をなんと表現したらいいのだろう。麦畑が風をはらんで穏やかな動物にでもなったような感じとでもいうか。

f:id:noaema1963:20200425200405j:image

折り返し点は、まじかに阿蘇を望む錦野天満宮。ここは若い頃からこの時期になると時折訪れている。一人で来たり、結婚前に妻と来たり、結婚後は子供たちも一緒に来たり。私にとって人生の定点観測をする場所なのである。4年前の熊本地震でかなり被害にあったようで、補修された箇所が目につく。ということは私はこの場所に、4年以上来ていなかったということか。

f:id:noaema1963:20200425200425j:image

拝殿の階段に座り、コンビニで買ったおにぎりとジュースで昼食。新型コロナの影響で「外出した時はコンビニで買ったものを食べる」が当たり前になりつつある。4月の末の段階で、こんな不自由な暮らしを強いられるとは、中国旅行を断念した1月の私は想像だにしなかった。その時の様子を読みたい方は「北京の旅を断念するも、驚くほどの欠落感」を読んでください。

 

noaema1963.hatenablog.com

 風にそよぐ麦畑をしばし鑑賞した後、帰路に。

ところが麦畑をそよがせてくれていた西風が予想以上に強く、往路の倍くらいの時間をかけ帰宅。復路の後半は結構ヘタってしまい、大変でした。でも光がキラキラして、印象派の絵のような50キロ強のコースでした。

 

麦畑風をはらんで優しげに