一人旅おやじがゆく

旅することが人生の最大の喜びである旅好きが、各地で見たもの感じたことを淡々と記します。

還暦近いのに精神汗ダラダラ

どうも。旅するおやじ旅生です。

何十年経とうが、変わろうと思ってもどうしても変わらないことってありますね。

自分にとってそれは精神的な発汗です。

東京での大学時代(1983年4月〜1987年3月)、カントリーミュージックの一派である「ブルーグラス」という音楽をやっていたことは何度かブログでも書きました。自分で言うのも何ですがうちのバンドは演奏レベルが結構高く、学生ながらライブハウスに出演していました。

一軒が銀座、あと一軒が神保町。ファン層が限られてる日本のブルーグラス界の大事な拠点でした。銀座のライブハウスはまだ営業していますが、神保町の方はだいぶ前に営業をやめたようです。

旅生はフラットマンドリンを担当していました。ツービートのリズムを刻みながら間奏部分では10秒〜20秒ほどのフレーズを弾きます。入部したての頃はフィドル(バイオリン)を練習していましたが、フレットのない楽器を4年間という限られた期間で上達するのはかなり難しいことに気付き、早々に転向。一度始めたら熱心に取り組む真面目な性格なので、人前で演奏しても恥ずかしくない、というか結構人に誇れるくらいのテクニックを身に付けました。

ところが、舞台で演奏をすると「あがる」のです。

頭が真っ白になるというほどではないのですが、軽くあがった状態が続くからでしょうか、2、3曲目が終わったくらいから体温がググッと上昇し、頭から滝のような汗を毎回かくのです。通常のハンカチなら「もうこれ以上、水分を吸えません」となるレベルの汗。それなのに指先はひんやり。

最初はあまり気にしていなかったものの、毎回のことなので「周りから変に思われているのではないだろうか」と思い始め、結果、その感情が負のスパイラルを生み出し、発汗はさらに酷くなっていきました。わかる人にはわかるでしょう、この感覚。車酔いの感覚に似ていると言えます。「あ、酔ってしまうな」と思ったが最後、車酔いは始まりますよね。

たぶん人前で演奏する(それもお金を払って聞きにきている人の前で)のが、20歳をすぎたばかりの「生真面目くん」には、実は喜びよりもプレッシャーになっていたのでしょう。

ライブハウスの出演回数は月1〜2回だったでしょうか。バンド仲間には「発汗が気になる」など昭和の男としては恥ずかしく相談できませんでしたし、仲間もそのことにはあえて言及しない空気がありました。

ただライブ当日、地下鉄の駅を降りてライブハウスに向かう道すがら、「また今日も滝のような汗をかくことになるのか」とブルーになることも多かったですね。でも3年生の冬までがんばり通しました。ちょっと大袈裟ですが。

そして大学を卒業し、不安と期待を抱えて社会人に。

ただ「人前で汗をかくのではないか」というプチ恐怖はすっかり刻み込まれていて、緊張しやすい新人くんに容赦無く襲いかかってきました。初対面の人に限らず、場合によっては職場の人と面と向かって人と話している時でさえ、「ひょっとして汗をかいてしまうのでは」という思い(それは軽いパニックと言っていいかもしれません)が引き金になり、現実に汗だらだら状態になってしまいます。要するに「構えた場」が苦手なわけです。

こうなると汗の方に気が行ってしまい、会話に集中できなくなってしまいます。

入社から三十数年。いまだに旅生はこのプチパニックと闘い続けています。以前より発汗頻度は若干減りましたが。

それにしても信じられますか? 大学時代から言うならばやがて40年ですよ。だって解決の方法がないのです。だから個人的には「難病認定」しています。この「難病」がなければ旅生の人生、また随分と違ったものになったのでは、と思ってしまいます。まぁ「無い物ねだり」ですが。

時として家族で食事をしている時にも襲われます。そのあとは落ち込んでしまいます。昔よりだいぶ開き直れるようにはなりましたが「全面解決」にはほど遠いと言っていいでしょう。

実は芸能界にも、精神的な発汗で苦しんでいるんじゃないかな〜と感じた人が2人います。

タモリサンドウィッチマンの富澤です。

タモリは「笑っていいとも」のテレフォンショッキングの時に、その症状で苦しんでいたように見えました。特に若い女性アイドルが出演した時は、これは旅生の推測でしかありませんが、どう話を展開させていいか戸惑い「プチパニック」に襲われていた気がします。もちろん旅生のように「汗ダラダラ」状態ではなかったですが、タモリの普段の力の半分も出せずにコーナーを終えていた感じがします。

あの状況、私の記憶が正しければ十数年続いたのではないでしょうか。何千万人が見ている中での症状です。タモリなりにかなり悩んだ部分があったのではないかと思います。それでもあの長寿番組を続けたわけです。タモリのこと心から尊敬せずにはいられません。

一方、富澤はロケの時などは特に目立ちませんが、舞台上で漫才をやっている時やトークを展開している時、時折「汗ダラダラ」状態になります。富澤本人もそのことを話のネタにしていたこともあります。見た目はゴツいですが、すごく繊細な人のようなので、「大変だろうな〜」と応援したくなります。

 

それにしても、やがて定年を迎えようとしている初老おやじの精神汗パニック。何の因果か分かりませんが、もう十分に苦しんだのでそろそろ解放してくれないものだろうか、と神様に手を合わせることもしばしばです。