旅するおやじ旅吉です。
日本一周(まずは春編で東海道から信越地方)の旅に出てから10日余りが経ちました。
そして会社を1年間の早期退職してからやがて20日になります。今どんな感覚なのか書いておきすと、「朝起きて憂鬱な気分にならずに済む」というのがこんなに素晴らしいものとは‥。旅吉は子供の頃から寝起きの悪さは相当なものがありました。この癖は変わらず、会社生活の間、終始苦しめられました。それも季節を選ばず「年中」なのです。
でも特に酷かったのが春先でした。いろんなものががらりと変わる時なのが原因と思われます。飽きっぽくて変化を好む性格ではあるのですが、春先の変化だけはダメでした。目が覚めると同時に、ボーッとして不愉快な気分の中、あえて不安な材料を探す傾向があります。苦手な人の顔とか、事柄とかを瞬時に思い出し、「うわっ。仕事行きたくない‥」となるわけです。
今まさに、その憂鬱な季節なのですが、当然ながら平穏な気分で旅を続けています。
前回の続きで静岡県のことを少し紹介します。
旅吉は映画「男はつらいよ」が大好きです。で、多くのファンがそうするように、旅吉は作品の舞台となった「聖地」を訪ねるのが好きです。東京の柴又はもちろんのこと、例えば九州で言えば平戸、日田、秋月などなど。古い情緒が残る場所を山田洋次監督は物語の舞台に選びます。
今回の旅で立ち寄ったのが静岡県島田市の大井川にかかる蓬莱橋です。
世界で一番長い木製の橋として有名。明治初期、茶畑の開墾が進む牧之原台地と島田の町を楽に行き来ができるようにと、勝海舟の発案で架けられ、以後、修繕を繰り返しながらこれまで維持されてきました。ちなみに架橋以前は人足による「大井の渡し」でした。
「男はつらいよ」で舞台になるのは第22話「噂の寅次郎」の初めの方。マドンナは今は亡き大原麗子でした。寅次郎は静岡や信州でバイ(商売)をしていて、途中でこの蓬莱橋を通ります。すると対岸からやってきた雲水役の故大滝秀治がすれ違いざま、「旅のお人。失礼だが、あなたには女難の相が出ておる」と話しかけるのです。寅次郎は「ありがとうございます。いつものことでごぜえやす」と返すシーンです。
妙に印象に残る場面でした。映画が作られたのは半世紀前なので、まだあの橋が存在していることを、数年前に知りました。
蓬莱橋があるのは、映画からは想像がつきませんが、島田市の商店街の間近でした。橋のすぐ背後には大きなショッピングセンター。蓬莱橋を見学後、ここで買い物しました。
橋は想像以上に長く、反対岸がどうなっているのか見えないほど。橋は古い部分、新しく修繕された部分がはっきり分かります。ちょうど島田市の職員の方々が点検に来られていたので聞いたら、「あそこの黄色っぽい部分は昨年修繕した部分です」と教えてくれました。気候変動が激しい中、維持は大変なことと思います。
あまりに風が強かったので、半分も渡らないあたりで引き返しました。それにしても大井川の幅の広さには驚きました。南アルプスから相当量の土砂を運んできていることでしょう。静岡県の延々と続く砂浜もその影響なのですね。
話はごろっと変わりますが、退職して20日がたったものの、夢に出てきている人々はどうも元同僚たちのようです。最近、はっきりと夢を思い出せないのですが。