どうも。旅するおやじ旅吉です。
子供の頃からずっと行きたかった場所があった。とうとう念願かなって行くことになった。
信州の高遠から南へ一直線に続く谷がその場所である。南アルプスと伊那山地に挟まれた谷が、静岡県の方向へ延々と続いている。途中には標高が1400メートルを越す分杭峠。その南には大鹿歌舞伎で知られる大鹿村役場などがある。ちなみにこの歌舞伎を題材に、原田芳雄の遺作となった映画「大鹿村騒動記」が10年あまり前に上映されている。
なんで行きたかったのかー。理由という理由はない。ただ秘境をイメージさせる何かがある。地図帳で見るたび、「なんでこんなにまっすぐ谷間が続いているんだろう。誰か住んでいるんだろうか」「いつか行ってみよう」という思いが消えることはなかった。
前回の記事から数日前に戻る。
高遠の城跡で桜見物をした後、まんをじしてこの地に乗り込んだ。
で、えらい苦労をしました。
何しろこの谷を通るのは国道とは言え3桁のまさに「酷道」。下の写真がそれだが、この道幅がグネグネと終わることなく30〜40キロほど続いた。民家はほぼない。
ナビが「急カーブがあります」とうるさいくらい知らせてくる。「分かってるって」と独り言を言いながら、ひたすらハンドルを回す。地図で見ると比較的まっすぐな道をイメージするも、実際はそんなに甘くない。
南アルプスの麓と言いながら、目の前の低い山々に隠れて雪山が姿を表すことはない。ここで事故を起こしたらとんでもないことになること間違いなし。死亡事故にでもなろうものなら「なんで熊本の人がこんな所で」と呆れられることだろう。
以前、熊本の五家荘地域(八代市泉町)へ、やはり酷道を使って訪ねたブログを書いたが、ほぼ同じか、あるいはもっと過酷だった。何しろ距離が半端ない。ヘトヘトになった。五家荘の記事も読んでみてください。
今回初めて知った。秘境と言われる地域の風景はどこも変わらない。何しろ秘境は遠望がきかないのだ。地形の関係上、目の前の山々の景色しか見えない。なので五家荘の風景も今回の南アルプス山麓の風景も一緒だった。新緑の季節になると植生の違いが際立つのかもしれないが‥。
ようやく分杭峠に到着。思えば南信州とはいえ、標高1400メートルまでノーマルタイヤで行くのはあまり感心しない話だろう。ちなみにこの前日には霧ヶ峰のすぐ下を走るヴィーナスラインで標高1800メートルの地点まで行っている。冬用タイヤの指示はなかったが、現地の人からすると無謀なことをしているのかも。二日とも道路上に雪は全くなかった。
峠からは高遠方面が見えたが、あまり信州らしい景色とまでは言えないような。ただ説明板からなぜこんなまっすぐな谷間があるのか知った。中央構造線の影響なんですね。
九州にはいない熊でも出るのではと思ったが、野生動物に出くわすことはなかった。
その後も、上の写真のような道路がだいぶ続いて、大鹿村役場がある村の中心部に到着。道の駅もあったので「ここで車中泊しようか」と迷ったが、まだ時間が早かったのと、電波状況がかなり悪そうなので飯田方面に抜けました。
「長年興味があった場所をついに走れた」という達成感はあるものの、想像以上の過酷なルート(すれ違った車は2〜3台。いずれも県外ナンバー)に「ガソリンの無駄遣いになったかな」「やっぱ俺は物好きだなぁ」という後悔と反省も。何しろ旅吉のキャンピングカー「プー介」の燃費は、1リッター10キロに届かないくらいなのだ。キャンピングカー はこのあたりがついらいところだ。
ちなみに大鹿村役場のさらに南、静岡方面への道は峠が通行禁止になっていた。